NHKスペシャルで放送された「グーグル革命の衝撃」が本になったのを読みました。ただし、テレビの方は、見ていません。
Googleの検索を多用することで、Googleの検索が本当に正しいと信じてしまうことが、大丈夫なのかと問うケースが、本書や他のWEBサイトなどでも見かけるようになりました。中国での政府主導の閲覧(ある単語に関して、検索拒否)を例に、警鐘を鳴らしています。
ですが、これをGoogleの検索の信用性を問うことに関して、私は疑問があります。
Googleのみが検索を提供しているわけではありません。もし、Googleの検索に不満があれば、他の検索サービスに移る選択は自由です。このため、Googleの検索に問題があっても、少しも困る事は無いと思います。
出版後に発表があったかも知れませんが、オープンソースの検索のプロジェクトがあります。このため、Googleの検索の信頼性がどれほど失っても、大きな問題とは思えません。
また、知らず知らずのうちに、Googleの検索がおかしくなっていることがわからないことは、たぶん無いと思います。それは、非常に多くのユーザが使用しているのですから、だれかが気づき、ブログなどで報告がされることになるでしょう。このため、Googleの検索がおかしくなって、多くの人に影響がないと思います。
エピローグで、チーフプロディーサーとその息子との会話を通して、検索によって、思考する能力が、退化するのではないかと危惧していますが、それも、私は、どうにも納得できません。
その前に、エピローグを読んで、将棋会の羽生名人の高速道路の話を思いだしました。
将棋の世界では、素人が、非常に強くなったようです。これは、棋譜が参照しやすくなり、昔はプロのみが取得できた情報が、素人でも、アクセスできるようになったのが原因のようです(別に人類が、急に頭がよくなったわけではないようです)。
ただし、高速道路のように、だれでも一定のレベルに速く到達できる代わりに、あるレベルの段階では、渋滞のように、それ以上進めないようです。ここが、プロと素人の境目のようです。
この話は、素人でも、情報をすばやく手に入れれることで、ある一定のレベルには到達できても、それ以上のレベルを超えるには、ある種の努力などがを要することを示しています。
エピローグでは、もっと泥臭いことをすることが、高いレベルに到達することができることだと思っているようですが、それとこれとは違う話だと思います。コピペ論文が、もし受理されるようならば、受理する側に問題があります。
また、情報取得が非常に簡易になったお陰で、思考する時間をより多くとれるようになったと、なぜ考えないのでしょうか。また、インターネットと検索のお陰で、今まで特権階級しかアクセスできなかったデータが、一般の人達にもアクセスできるようになったメリットをなぜもっと評価しないのでしょうか。
例えば、私は、「将来のPC業界パワーバランス」を書く上で、SPECのベンチマークデータや、HP&Compaqの四半期決済の結果が、WEBから検索する事で取得できたとき、ある種の感動を覚えました。
もし、これらがWEBになかったり、検索して見つけることができなければ、一個人としては、これらのデータを取得する事はできなかったでしょうし、取得したデータを元に考察したエントリを書くこともできなかったでしょう。
そう、検索結果をどう使うかは、個人の裁量によるのですし、人は、そこまで馬鹿だとは思えません。
さらに、個人のデータを預ける事の是非に関して、言及していますが、そこも私とは意見が違います。
なぜならば、私は、Googleに率先して、記憶を預けたいと考えています。
理由は、簡単です。データが膨大すぎて、すぐに取り出せないからです。例えば、私のブログ(将来のPC業界パワーバランス)は、既に200エントリを超えています。また、書き始めて、すでに1年以上が経過しています。
この全てのエントリを、いつ掲載し、どのような内容かを説明しろと言われると、それは無理です。このため、過去のエントリの内容を探すには、検索するしかありません。月毎のメニューから探すのは、不経済な方法です。
そうです、データを預ける理由は、ものを探すには、検索するしか法方がすでにないほど膨大だからです。人間は、忘却と言う能力をもつ動物なのです。
このため、私は、検索できないところにデータを置こうと思いません(但し、公開できない個人情報は別)。また、検索できるところに置くことによって、自分以外も活用してくれるかも知れません。それこそ、人類にとって、有益では有りませんか。
私は、Google本と呼べるものとして「ザ・サーチ」、「Google誕生」ぐらいしか読んでいません。「グーグル革命の衝撃」を他の本と比べるのは、差し控えますが、Googleに関する警鐘を鳴らす記述は、すこしも同意できません。
この様なGoogleへの警鐘は、Microsoftが、OSを牛耳って、PC業界に君臨した事が、主役を替えてまた、繰り返させられると心配しているのでしょうか。
ですが、Googleは、今のところ検索では、トップとは言え、Microsoftの様な、独占的シェアではありませんし、独禁法違反を繰り返しているわけでは有りません。MicrosoftがOSシェアを伸ばしていた時代は、代替のOSがまったく有りませんでした。Googleの現状とは、まったく違います。
このため、Googleを使うことに心配されている方への解決方法は、至って簡単です。Yahoo!か、Microsoftに移るか、それとも検索しなければすむのですから。
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